この作品について
見上げた瞬間に現実感がゆらぐのは、この風景が不気味なのに、同時に驚くほど美しいからです。理由は、青く深い空と大きく膨らむ雲のあいだを、白い鯨の骨格がまるで生き物のように浮遊しているからです。画面の中央には口を大きく開いた巨大な骨の鯨が配置され、そのまわりを囲むように、やや小さな二体が別の高さで並んでいます。細く連なる背骨、肋骨のアーチ、長く伸びた顎の鋭いシルエットが、空の柔らかさとは対照的な緊張感を生み、単なる幻想では終わらない存在感をつくっています。不気味さと美しさがぶつかり合いながら、ひとつの静かな景色としてまとまった作品です。
コンセプト
この作品で描きたかったのは、死を思わせるモチーフの中にも、美しさや解放感が宿るという感覚です。なぜなら、怖さや不穏さは、置かれる場所や見せ方によって、神秘や詩的な印象へ変わるからです。本来なら海の深い場所や博物館の展示を連想させる鯨の骨を、雲が広がる高い空へ浮かべることで、重いはずの存在に逆向きの軽さを与えました。その結果、骨は死の残骸ではなく、時間を超えて空を巡る記憶のようにも見えてきます。気味悪さだけで終わらせず、見上げたくなるほどの壮大さへ変換したことが、この作品の核です。
苦労ポイント
いちばん苦労したのは、三体の鯨の距離感と全体のバランスを整えることでした。理由は、Midjourneyで生成すると、一体ごとの骨格は迫力が出ても、複数体を同じ画面に入れたときに位置関係が不自然になりやすく、空間としてきれいに成立しなかったからです。特に、大きな一体を主役にしながら、ほかの二体が添え物ではなく流れをつくる存在に見えるようにするのが難しく、何回生成しても並び方に違和感が残りました。近すぎると窮屈になり、離しすぎると関係性が弱くなるため、その中間を探るのにかなり試行錯誤しています。何度も生成を重ねた末に、ようやく空の広がりと骨格の迫力が両立する配置へたどり着けました。
さいごに
眺めているうちに、この作品はただ奇抜な空想ではなく、自分の感性の奥にある“美しさの基準”を少し揺らしてくる一枚だと気づかされます。理由は、青空の解放感、雲の柔らかな明るさ、そして白く乾いた骨のかたちが、相反するもの同士でありながら強く惹き合っているからです。整ったものだけでは物足りず、少し不穏で、少し神秘的なものに心が引かれる感覚は、多くの人がまだ自覚していない購買欲求でもあります。この作品は、ただ飾るためではなく、自分の中にある静かな違和感や憧れを確かめるために持ちたくなる一枚です。もしこの作品を気に入っていただけましたら、ご購入いただけるとうれしいです。
