この作品について
ふと目を奪われるのは、巨大な赤い扇が幾重にも開いた空間の中央を、白いクチュールドレスの女性がまっすぐ歩いてくる構図です。印象が強く残るのは、光沢のある扇の赤、膨らんだ袖と高い襟を持つ白いドレス、黒いグローブとブーツという三つの要素が、ひとつの画面で明快に役割分担しているからです。足元には薄い霧が流れ、床の存在を消しながら人物のシルエットだけを浮かび上がらせています。派手な色を使いながらも散らからず、静かな威圧感まで感じさせる一枚になりました。
コンセプト
狙ったのは、装飾の多さではなく、色と形の対立だけで引き込むシュールファッション / ポートレートです。赤い扇を背景ではなく舞台装置として扱うことで、被写体が空間に置かれているのではなく、空間そのものを従えているように見せられます。背後の大きな扇は円形の圧をつくり、中央の白い衣装は彫刻のような量感を持ち、目には控えめなキャッチライトを入れて視線の芯を通しました。鮮烈なのに上品、その両立を成立させることが作品全体の軸です。
苦労ポイント
制作では、Midjourneyが赤い扇の影響を拾いすぎて、衣装まで赤寄りに出してしまう失敗が何度もありました。白を主役にしたいのに、ドレスが背景に溶けると一気に弱くなるため、衣装は明確に白、扇は深い赤、と指示を細かく詰め直しています。さらに、床を黒い鏡面にした段階では画面下部が重く沈み、奥に人影が増える出力も出ました。霧を入れすぎると脚の線が埋もれ、扇を整えすぎると安全な絵になる。そうした崩れ方を一つずつ調整した結果、いまの軽さと緊張感にたどり着きました。
さいごに
強い作品は好きだけれど、過剰に騒がしいものは選びたくない。そんなまだ言葉になっていない欲求に、この作品は静かに応えてくれるはずです。赤い扇の大きな面、白いドレスの立体感、黒の差し色、霧の抜け感が同時に成立しているため、見るたびに印象の重心が少しずつ変わります。飾るためというより、自分の感覚の輪郭を確かめるために選びたくなるタイプのアートです。もしこの作品を気に入っていただけましたら、ご購入いただけるとうれしいです。
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